日々の生活の中で、スマートフォンやタブレットはもはや手放せない存在となっています。デスクワーク中の通知確認、キッチンでのレシピ閲覧、あるいはリラックスタイムの動画視聴など、あらゆる場面で画面を見やすい角度に保つスタンドの重要性は高まるばかりです。しかし、市販のプラスチック製スタンドではインテリアから浮いてしまったり、デザインが少し無機質すぎると感じたことはないでしょうか。
今回は、そんな日常のちょっとした悩みを美しく解決するためにデザインした、大理石(マーブル)調の質感を持つミニマルなスマートフォンスタンドの制作ストーリーと、その魅力について詳しくご紹介します。
インテリアに溶け込む素材とデザインの発想
このスタンドの着想は、「デスクの上に置きっぱなしにしていても、ひとつのオブジェとして成立する美しいスタンドが欲しい」という思いから生まれました。機能性だけを追求すれば、単なるL字型のパーツでも事足ります。しかし、毎日視界に入るものだからこそ、視覚的なノイズにならず、周囲のインテリアや木製のデスク、観葉植物などとも自然に調和するデザインが不可欠だと考えました。
そこで選択したのが、微細な黒い粒子が練り込まれた大理石調のPLAフィラメントです。この素材を使用することで、3Dプリント特有の積層痕がまるで天然石の模様のように馴染み、プラスチックでありながら陶器や石材のような温かみと高級感を表現することができます。
![]() |
PETGフィラメント1.75mm,【TINMORRY】300mm/s 高速 PETG 3Dプリンター用フィラメント 1.75mm 1Kg マーブルホワイト |
造形のコンセプトは「ミニマリズムと安定感の融合」です。無駄な装飾を一切削ぎ落とした直線的な背もたれと、デバイスを優しく受け止める下部のフック。そして、側面から見たときの美しい三角形のシルエット。これらを組み合わせることで、空間を圧迫しない軽やかなデザインを目指しました。
機能美を追求した設計とこだわりの調整
設計段階で最もこだわったのは、デバイスを置いたときの「最適な傾斜角度」と「重心のバランス」です。画面をタップした際にスタンドごと後ろに倒れてしまっては意味がありません。そのため、背もたれの角度は、デスクに座って見下ろしたときにも、少し離れた場所から動画を視聴するときにも最も自然に画面が見える黄金角を計算して設定しました。
また、軽量化と材料の節約、そして視覚的な軽快さを出すために、スタンドの背面および底面には大胆なスリット(肉抜き)を施しています。単に穴を開けるだけではなく、構造的な強度を落とさないよう、力がかかる応力部分には十分な厚みを持たせるよう緻密に計算を行いました。この絶妙なアーチ構造とスリットにより、手に取ったときは驚くほど軽いのに、重めのスマートフォンや少し大きめのタブレットを置いてもビクともしない、極めて安定した土台が完成しています。
デバイスを支える2つのフック部分は、画面の操作を妨げないよう最小限の立ち上がりに抑えつつ、エッジに滑らかな丸み(フィレット)を持たせることで、大切なスマートフォンに傷がつかないよう配慮して調整を重ねました。
完成、そして日常が少し豊かになる使用感
完成したスタンドをデスクに置いてみると、大理石調の落ち着いた質感が空間に上品なアクセントを加えてくれます。光の当たる角度によって石のような柔らかな反射が生まれ、3Dプリント作品であることを忘れてしまうほどの高い完成度に仕上がりました。

実際にスマートフォンを置いてみると、その安定感と使い勝手の良さに驚かされます。フックの間に適度な空間が設けられているため、充電ケーブルを挿したままでもスマートに設置することが可能です。テレワーク中のビデオ会議や、休日の映画鑑賞など、長時間の使用でも画面が揺れることなく、極めて快適な視聴環境を提供してくれます。
シンプルだからこそ、どんなデバイス、どんな空間にもフィットする。このスタンドは、毎日のデジタルライフをほんの少し豊かで美しいものに変えてくれる、頼もしいデスクのパートナーとなりました。
使用した3Dプリンタ
今回の造形には、普段使っているFDM方式の3Dプリンタを使用しました。
PETGでも安定して出力でき、ファジー表面も問題なく再現できています。
![]() |
Anycubic Kobra S1 3Dプリンター 600mm/s高速印刷 |




コメント